―入部条件は『スキンシップに抵抗なし』!?
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「癒し研究会、か……」
昼休みの廊下で、俺――水島悠斗は足を止めた。
掲示板に貼られた部活紹介ポスター。そこには大きな文字でこう書かれていた。
『癒し研究会 新入部員募集中!』
入部条件:スキンシップに抵抗がない人
「……いや条件おかしいだろ。なんだよスキンシップって」
思わず独り言が漏れる。だが俺の視線はその下の写真に釘付けになった。
写っているのは、学校でも有名な美少女三人。
――完璧才女で男子から憧れられている生徒会副会長・一ノ瀬澪先輩。
――長身スレンダー、バレー部からの転部組で健康美人の桐谷真琴先輩。
――同じクラスの小悪魔系美少女、真白莉奈。
「……なにこのラインナップ。詐欺ポスターかよ」
でも、男の性というやつだろうか。気がつけば俺の足は放課後、その部室棟の奥へと向かっていた。
「ノックしなくてもいいわよー! 入って入って!」
返ってきた声はやけに明るい。恐る恐る扉を開けると、そこは畳敷きの和室だった。
座布団が並べられ、テーブルにはお菓子とティーセット。女子会のような空間。
そして、三人の美少女がこちらを振り返った。
「来てくれたのね、水島くん」
真白が笑って手を振る。
「ちょ、なんで俺の名前……」
「同じクラスなんだから当たり前でしょ? ふふ、ようこそ癒し研究会へ」
一ノ瀬先輩は穏やかに微笑み、桐谷先輩は豪快に手を叩いた。
「よし、新入部員歓迎セレモニーだな!」
次の瞬間――俺は左右から抱きしめられた。
桐谷先輩の健康的な体温、真白の柔らかい感触。さらに背後からは一ノ瀬先輩の腕が回り――
「ちょ、ちょっと待った!? これ、どういう……!」
「これが活動よ」一ノ瀬先輩は耳元で囁いた。
「私たちは“スキンシップによる癒し効果”を研究しているの」
「そ、そういう説明は入る前にしてくれ!」
「だから入部条件に書いたでしょ? “スキンシップに抵抗がない人”って」
真白がニヤリと笑い、さらに腕を絡めてくる。
「まあまあ、嫌ならすぐやめてもいいんだよ? でも……ここまで来ちゃったなら、ちょっとは付き合ってくれるでしょ?」
俺の理性は、すでに危険信号を点滅させていた。
◆実験という名の拷問(?)
「まずは手を握ってみましょう」
一ノ瀬先輩の提案で、俺は正座のまま両手を差し出す。
右手には一ノ瀬先輩のしなやかな指。左手には真白の小さくて柔らかい手。
「どう? 落ち着いてくるでしょう?」
「い、いや……逆に落ち着かないんですが……」
「効果あり、っと」一ノ瀬先輩は嬉しそうにメモを取る。
そこへ桐谷先輩が「よし次は私の番だな!」と豪快に割り込んできた。
突然肩を抱かれ、頭をわしわしと撫でられる。
「うわ、犬か猫みたいに扱わないでください!」
「癒されるだろ? ほら、胸だって当たってるぞ!」
「当てるなーっ!」
三方向から繰り出されるスキンシップ。俺の理性は早くも限界値を突破しかけていた。
◆部活の実態
日を追うごとに、癒し研究会の活動はエスカレートしていった。
ハグは日常茶飯事。
膝枕で耳かき。
マッサージ実験と称して背中にまたがられる。
「ねぇ悠斗くん、足つぼって気持ちいいらしいよ?」
「や、やめろ! くすぐったいから!」
「ふふ、顔赤い」
「水島、肩凝ってるな! よし、私が乗って踏んでやる!」
「ぎゃああ、折れる折れる折れる!」
「水島くん、目を閉じて。リラックス効果を確かめるわ」
「は、はい……」
――唇に柔らかい感触。
「ひぇ!? い、今キス――」
「頬に軽く触れただけよ。実験だから」
「実験で済ませるなああ!」
俺の青春は、完全に弄ばれていた。
◆本当の理由
ある日の帰り際。部室に残っていた俺に、一ノ瀬先輩がふと真剣な声をかけてきた。
「……驚いたかもしれないけど、私たち、本気でこの研究をしているの」
「え?」
「人は孤独だと不安定になる。でも、触れ合いがあれば安心できる。だから――」
「スキンシップか」
「そう。……でもね」
一ノ瀬先輩は少し恥ずかしそうに目を伏せた。
「最初にあなたを誘ったのは、私が……悠斗くんに触れたかったからなの」
鼓動が跳ねる。理性どころか魂まで揺さぶられる告白だった。
そこへ乱入する真白。
「ずるいよ澪先輩! 私だって悠斗くんに触れたい!」
「ちょ、私も混ぜろ!」と桐谷先輩。
結局その日は三人同時に抱きつかれ、俺は布団のように埋もれる羽目になった。
◆オチ
翌日。掲示板に新しい紙が貼られていた。
『癒し研究会 新入部員募集中!』
入部条件:スキンシップに抵抗がない人
現在の男性部員:水島悠斗(※毎日癒され中)
「勝手に名前使うなぁぁぁぁ!」
俺の叫びは、部室棟の奥に虚しく響いた。
だがその顔は――笑っていた。
――結局、俺はこの“おさわりOK”な部活に、ずぶずぶハマっていくのだろう。
完
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