パンツを見せると願いが叶うってマジですか?

現代 × 学園・日常系

学園に伝わる謎のジンクスと恋の騒動

日記を綴りながら出会いを見つける新感覚コミュニティー『デジカフェ』

「……春川くんって、誰かにパンツ見せられたことある?」

その日、昼休みの教室で、俺は突然そんな質問をされた。
問いかけてきたのはクラスのアイドル、如月アイリ
成績は学年トップ、顔面偏差値SS級、そんな彼女が俺の席に腰かけている。……異常事態だ。

「は? パンツ……?」

「うん。実は最近さ、この学園に変なジンクスが流行ってて」

彼女がスマホを見せてくる。そこには学内掲示板の投稿。

『好きな人にパンツを見せると、その願いが叶うらしい』

「……またくだらない噂だな」

「で、春川くんは……見せられたことある?」

「ねぇよ。というか俺、そんな願いを背負えるほど立派な男じゃないし」

「そう? 私は見せるけど?」

「は??????」

彼女はさらりとそう言うと、立ち上がって、机の角に腰かけた。そして――

「ちょ、やめっ、ちょっと待て!!?」

「はい。見たね。パンツ。証拠写真はないけど記憶には残ったはず」

「やっっっっっべえええええ!!!」


午後の授業中、俺はずっと動揺していた。

(なんで俺、パンツ見せられてんだ!?)

しかも、掲示板には新しい投稿が。

『今日、2年4組で“発動”したっぽい』

完全に俺のクラスじゃねえか。

その後もアイリは何食わぬ顔で授業を受けていた。おいおい、本当に見せただけで満足なのか?
てか願いって何だったんだよ……怖ぇよ。


放課後、下駄箱で俺を待ち伏せしていたのは、幼なじみの双葉さくらだった。

「ねぇ悠斗……アイリちゃんに、パンツ見せられたってホント?」

「どこでその情報仕入れてんだよ!!?」

「やっぱり! ……くっ、間に合わなかったか!」

「いや、別に競争でもねぇし!!」

「なら私も!! 見て!!」

「ちょ、お前もかよ!!?」

俺の前でスカートのすそをつまみ上げようとするさくら。
止める俺。押し問答。
通りかかる先生。

「何やってるんだ春川ァ!!!」

地獄絵図だった。


翌日。

「春川くん、いいこと教えてあげる」

朝の教室でアイリが俺の耳元にそっと囁く。

「……さくらちゃんが見せようとしたの、あれ実は“勝負パンツ”だったらしいよ?」

「勝負って……なんの勝負だよ」

「そりゃあ……“どっちが先に春川くんを落とすか”って勝負」

「はあああああ!?」

なんだそのマウント合戦!! てか俺、何もされてないのに落とされてる前提!?
しかも、周囲の女子まで俺にパンツを見せてくるという狂気の連鎖が始まった。

「お兄ちゃんが大学合格しますように! 見てくださいっ!」

「推しのライブ当たりますように!」

「お腹が痛くならない体になりますように!」

パンツビューワーじゃねぇって言ってんだろ!!!!


数日後、もう我慢の限界を迎えた俺は、生徒会室を訪れた。

「……相談があります」

生徒会長、3年の柊れいか先輩。冷静沈着、美人でお堅いことで有名な人だ。

「……“パンツジンクス”の件ですね?」

「はい!? もう把握してるんですか!?」

「もちろん。校内でのスカートめくり事件、報告数が通常の12倍になっています」

「そりゃそうだろ!!」

「……実はあのジンクス、元を辿れば私の代の生徒会が流したものでして」

「えっ!?」

「真面目すぎる校風に、少しだけ“恋のきっかけ”を与えたくて、軽いノリで始めたものでした。まさかここまで広がるとは思っていませんでしたが……」

なんという真相……!

「……じゃあ願いなんて、叶わないんですね?」

「さあ? 叶うかどうかは、その人次第……ってことにしておきましょうか」

「なんか上手く丸め込まれた気がする!!」


そして、その帰り道。

「春川くん」

アイリが俺の隣に立っていた。

「今日も、見たい?」

「見たくねぇって言ってんだろ!! ……いや、嘘です。正直ちょっと見たいです。でも理性があります」

「ふふっ、なら我慢して。……本当のご褒美は、付き合ってから、ね?」

「ちょっと待て、その発言は人類を滅ぼしかねない!」

「……で、どうするの? 私と、さくらちゃん。どっち選ぶ?」

「……う」

返事に詰まる俺に、アイリが優しく笑った。

「答えは急がなくていいよ。でも……私の願いが叶うといいなって、今は本気で思ってる」

夕焼けの中でそう呟いた彼女の横顔は、冗談抜きで綺麗だった。

願いが叶うジンクスなんて、本当かどうかはわからない。
だけど、パンツ一枚から始まった恋も、案外悪くないかもしれない――


(了)

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